シブヤ経済新聞編集長 西樹氏 講演会 (秋田駅周辺にぎわい創造会議・研究会) @アルヴェ

定期的に開催されている「秋田駅周辺にぎわい創造会議」([twitter:@akita_nigiwai]の主催、というわけではないのかな、よくわからない)。ここで、一般参加者も無料で面白そうな講演会が聴けると、こばやしたけしさん([twitter:@attake])のリツイートで知り、ちょうど予定のない時間だったので行ってきました。

会場はアルヴェの多目的ホール。会議が少し押したため、20分ほど遅れてのスタートでした。聴講者は、会議からの参加者に加え、一般の聴講者や、学生さんとおぼしき私服姿の方もちらほらと。さすがに平日の15時スタートだけあって、少なめだったかな。しゃあない。

講演者は、「シブヤ経済新聞」(http://www.shibukei.com/)([twitter:@shibuyakeizai])発起人であり、編集長の西樹氏。今や国内69媒体、海外4媒体を数える「みんなの経済新聞ネットワーク」の第一号が、2000年創刊の「シブ経」なんだそうな。その後、2004年に第二号「ヨコハマ経済新聞」が創刊され、以後どんどん増えて現在に至る、と。それぞれの「経済新聞」の運営主体は様々で、あるひとつの会社がやってるとか、そういうわけではないそう。全然知らなかった。ちなみに今回の講演会は、「秋田経済新聞」(http://akita.keizai.biz/)([twitter:@akitakeizai])編集長の千葉尚志氏がセッティングしたんだそうです。

講演のタイトルは「全国から見た秋田のまちネタ」。内容は、「シブ経」や「みん経」の内容や成り立ち、理念や編集姿勢などの紹介を通じて、最終的いかに「まちネタ」を発掘し、「足を運ばせる」かを考える、という感じ。地域における「コンテンツを生み出す人々」を探しだし、そういう情報をパッケージ化して共有することこそが「まちネタ」であり、「みん経」の役割である、といった趣旨かな。

さらに、今の時代、実際に「足を運んだ」人たちの感想がSNSTwitterFacebook)によって一次情報に対してヒモ付けされるおかげで、「まちネタ」のみならずそれにたいする人々の感想までもが「共有」され、それが「行けばよかった…」という「悔しさ」を生み、さらなる動員につながっていく、という構図がある、と。このへん、津田大介氏([twitter:@tsuda])がおっしゃるソーシャルメディアの力みたいなものと近いのかも*1。インターネットの時代、情報の時代だからこそ、逆に「ライブ」の価値、すなわち実際に足を運ぶことの価値が高まっているそうで、それを踏まえた「足を運ぶ仕組み作り」が重要だ、というようなこともおっしゃってました。

シブヤに関連した、動員力のあるコンテンツの例として、挙がったのが「タイフェス」。「タイ」という、ゆるい縛りのもとに、食品から雑貨から芸能から、あらゆるコンテンツが集まり、それを目当てに人が集う、と。一方で、街中の袋小路を探訪する「ドンツキ協会」(http://dontsuki.wordpress.com/)や、すり鉢状の地形の凹凸を探る「東京スリバチ学会」(http://blog.livedoor.jp/suribachi/)([twitter:@suribachi_tokyo])のような、「ニッチ」な集まりも、なかなかの動員力があるそう。ゆるくても、ニッチでも、ともに足を運び始めるきっかけとして同様に強く作用するので、そういう「多様性のある文化創造」が大事だ、という結論でした。

タイトルに反し、秋田に関する具体的な話は殆ど無かったんだけど、まあそれは「秋田の人間で探せ」ということなのかな。「人が透けて見える記事が面白い」というような文脈で、「人間」のコンテンツとしての強さに言及されていたんだけど、それは記事だけでなく足を運ばせる力についても同じだとおもう。一次情報へのSNS「感想」をヒモ付けしたときの効果って、付加コンテンツとして「人間」が追加され、一次情報の魅力が増強されているというような面もあるのかも。だって、「あの人がイイねしてる!」ってだけでもコンテンツだもんなー。研究会メインテーマの「駅前にぎわい創造」についても、施設やテナントの魅力ではなく、むしろその奥にいる人間の魅力をうまくフィーチャしていくのが、新たなアプローチとして必要なのかもしれない。

*1:「動員の革命」読んでないけど